2011年9月10日土曜日

記憶

みずうみの 底深く 絡みついた 枯れ枝のように

記憶は 眠っている。  

風が吹いても 嵐が来ても 朝の光がさしても

記憶は 眠ったままだ。


ふと

プクリ。泡のように それはあらわれる。


準備室で いつも絵を描いていた先生の背中、煙草の匂い。

初めて 好きな男の子と 手をつないだ日。

白樺湖の 小さな教会での 結婚式。

毎晩のように 友達が押しかけてきて、遅くまで飲んで騒いだ新婚時代。 

難産のすえに授かった、ちいさな いのち。

母親になった日の うれしさと とまどい。


そうして また

記憶は 眠りに ついた。

みずうみの 底深く また いつか めざめるときまで。

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