2012年11月29日木曜日

じょうど

ながい闇をぬけて 

舟は 青い川面を すべってゆく



遠くに 白い丘が みえてきた

小さな花も草も 霜をまとったよう

丘の上には 幾人ものひとが ならんでいて

女のひとだろうか 男のひとだろうか

老人だろうか まだ子どもだろうか

みな きよらかな

透き通るような ほほえみをうかべ

たたずんでいる

ながい衣の裾は かすかな風にも

揺らぐことは ない 

ああ

ここが 浄土という ところなのだ

あの 人たちにくらべ

わたしは なんと  なまなましく

醜いことだろう